




流域システム工学研究室へ
ようこそ
流域システム工学研究室では、水を媒介とした自然と人の営みが融合したシステムについて研究、教育活動を展開しています。水に関するさまざまな自然と社会の仕組みを整え、より豊かで持続的な社会の構築を目的として研究・実践に取り組んでいます。流域システムに関する学術分野は人文科学、自然科学、工学、農学など非常に広範囲にわたります。本研究室のベースは工学ですが、これらの境界領域の融合型の新分野の開拓・確立を目指しています。そのため、研究や活動は、応用生態工学、土砂水理学の研究から合意形成や景観、水害の研究まで幅広く実施しています。したがって、多くの他分野の研究者との共同研究や交流、市民活動との連携など外に開かれた研究室となっています。
TOPICS
この度、研究室の林博徳准教授・鹿野雄一特任准教授らの取り組む研究「Community-led nature positive restoration at watershed scale in a biodiversity hotspot of Japan」が、National Geographic Society(ナショナルジオグラフィック協会;アメリカ合衆国ワシントンD.C.)が公募するFreshwater Conservation RFP(淡水保全に関するRFP)に採択されました。本事業は国際公募であり、世界中から応募された数百の申請の中から、採択件数はわずか4件でという極めて競争率の高いプロセスを経て選考されました。林博徳准教授らの研究プロジェクトは日本国内では唯一の選出プロジェクトとなります。また、本研究プロジェクト採択と同時に、林博徳准教授はナショナルジオグラフィック協会のExplorer(エクスプローラー)に選定され、ナショナルジオグラフィック協会のエクスプローラーとして本プロジェクトに従事することとなります。本研究プロジェクトで林博徳准教授らは、2025年1月からの2年間、福岡県朝倉市の野鳥川流域を対象に地域コミュニティ主導での淡水生態系保全および地下水涵養による流域再生の実践的研究に取り組みます。本プロジェクトでは、研究はもちろん、DX・教育・社会共創・国際協働の点において、九州大学がVISION 2030に掲げる「総合知で社会変革を牽引する大学」としての実践的成果が期待されます。
【関連情報】
National Geographic Society HP:National Geographic Society Furthers Investment in Efforts to Safeguard Our Planet's Freshwater


TOPICS 受賞
流域システム工学研究室の林博徳准教授・鹿野雄一特任准教授・田浦扶充子特任助教・池松伸也技術専門職員、熊本県立大学島谷幸宏特命教授らによる取り組み「河川教育を通した水環境の保全再生とその実践」が工学教育賞文部科学大臣賞を受賞しました。工学教育賞は、わが国の工学教育ならびに技術者教育等に対する先導的、革新的な試みによって、その発展に多大の影響と貢献を与えた業績を表彰するものです。林博徳准教授らは、その中の最高賞である「文部科学大臣賞」を受賞しました。長年にわたる水環境の保全再生活動を通じて、河川工学ならびに自然環境の魅力や価値を幅広い世代にわたり伝え、地域の活性化につなげるなど顕著な実績を上げている点が評価され、文部科学大臣賞に相応しいものと認められました。令和6年9月4日から6日にかけて行われた公益財団法人日本工学教育協会第72回年次大会にて表彰式が行われ、表彰状が授与されました。林博徳准教授らの所属する九州大学流域システム工学研究室では、引き続き河川や水環境の魅力や価値を広く伝え、様々なステークホルダーと共創した実践的な研究・教育活動を精力的に取り組んでいきます。
【関連情報】
工学教育協会HP:工学教育賞 | 日本工学教育協会
九州大学HP:工学研究院林博徳准教授らの取り組みが工学教育賞文部科学大臣賞を受賞しました。 | トピックス | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY)


TOPICS 受賞
この度、本学大学院工学研究院流域システム工学研究室(代表:林博徳准教授・髙田浩志助教・鹿野雄一特任准教授・田浦扶充子特任助教)が応用生態工学会社会実践賞を受賞しました。応用生態工学会社会実践賞は、応用生態工学会での顕著な活動やその学術成果を社会事業に還元・実践している個人もしくは団体を表彰するものです。なお、本賞は応用生態工学会の元会長の故廣瀬利雄氏の遺志である応用生態工学の発展を実現するため、広瀬賞、研究奨励賞とともに本年度(令和6年度)に設立された賞になります。
林博徳准教授らは、河川や水環境を舞台とした学術研究・教育の成果を深化させ、多様なステークホルダーと共創することにより、河川災害復旧や河川環境改善を通じた社会実装に貢献している点が評価され本賞の受賞に至りました。令和6年9月20日に一般社団法人応用生態工学会27回さいたま大会にて表彰式が行われました。
【関連情報】
応用生態工学会HP:(new)廣瀬賞授賞式・記念講演会 | 応用生態工学会 第27回さいたま大会 | Confit
九州大学工学部HP:流域システム工学研究室(林博徳准教授ら)の取り組みが応用生態工学会社会実践賞を受賞しました | 九州大学工学部 大学院工学府 大学院工学研究院


TOPICS 研究成果
世界の淡水生態系の豊かさは過去50年間で約83%が失われたとされ、その保全は世界的な課題となっています。日本も例外ではなく、九州の固有種でこの地域の淡水生態系を象徴する淡水魚アリアケギバチ(Tachysurus aurantiacus)も、河川環境の人為改変などの要因で絶滅の危機に瀕しています。しかし、保全に向けた具体的な解決策は確立されていませんでした。
流域システム工学研究室の山﨑庸平氏(修士課程2年)、林博徳准教授、鹿野雄一特任准教授および公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(以下 WWFジャパン)の共同研究グループは、福岡県矢部川流域においてアリアケギバチの生息状況と環境の網羅的フィールド調査を行い、当該地域の水利施設である「廻水路」が同種の重要な生息場所であることを明らかにしました。さらにその要因が、廻水路特有の歴史的背景に裏付けられた水管理の方法や水理特性にあることを示しました。廻水路は、江戸時代に、矢部川を境界とする二つの藩(久留米藩と柳川藩)が、稲作のために水資源を自藩領に引き込むために、両藩が競い合って築造した水利施設です。その機能は現在でもなお健在で、矢部川流域の農業と人々の暮らしを支えています。本研究成果は、水争いの解決策として造られた廻水路が数百年の時を経て、意図せず淡水魚類多様性を支えていることを示しました。このように本研究では、土木遺構である廻水路の保全が生物多様性保全に貢献することを示しました。地域の歴史文化的背景を持つ遺構や水管理システムが、生物多様性保全の重要な解決策となり得ると考えられます。
本研究は、生物多様性と歴史・文化が結びついたユニークな研究でもあり、その成果は2024年6月に国際学術誌「Biodiversity Data Journal」のオンライン版にて公開されました。
【論文情報】
掲載誌:Biodiversity Data Journal
タイトル:Detour canal, a civil engineering heritage created through historical struggle for water resources, now provides the habitats for a rare freshwater fish
著者名:Yohei Yamasaki, Hironori Hayashi, Suguru Kubo, Takashi Namiki, Yuichi Kano
DOI:10.3897/BDJ.12.e119517
URL: https://bdj.pensoft.net/article/119517/
【関連情報】
九州大学HP:江戸時代の土木遺構「廻水路」、今では希少魚の重要な生息環境に! | 研究成果 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY)
WWFジャパンHP:江戸時代の「廻水路」が希少魚の生息環境に!九州大学との共同研究 |WWFジャパン


TOPICS
研究室で主体的に関わってきた上西郷川の再生プロジェクトが、小学理科5年生の令和2年度版文部科学省認定教科書(東京書籍)に掲載されました。本書では、「生き物がすみやすい川に!~上西郷川でのとり組み~」と題して本プロジェクトの取組の概要と、上西郷川やその川原で見られる生き物等が写真付きで紹介されており、全国の多くの小学5年生が本プロジェクトから、地球環境保全や自然と人との関わり等について学びます。また、東京書籍のHPでは、「ESDやSDGsへの取り組み」の代表例として本プロジェクトが紹介されています。
東京書籍HP:新しい理科ESD・SDGsへの取り組み
なお、本事業は2016年度土木学会デザイン賞最優秀賞(公益社団法人土木学会)やグリーンレジリエンス大賞金賞(一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会)等の賞を受賞するなど対外的にもすでに高い評価を受けています(リンク)。


TOPICS
本研究が関わってきた星野川のプロジェクト(星野川災害復旧事業宮ケ原工区)が土木学会デザイン賞優秀賞を受賞しました。本研究では、島谷教授、林准教授がアドバイザーとして、プロジェクトの計画設計・WS運営などにおいて主体的にプロジェクトを主導しました。また、研究室の学生さんらによって作成された景観模型はデザイン検討や地域住民との合意形成の場面で大きく貢献しています。
詳しくは、土木学会デザイン賞のページを参照:星野川災害復旧事業宮ケ原工区


TOPICS
2021年3月10日に行われた島谷幸宏教授の最終講義の動画が九州大学のHPよりYoutube配信されています。当日参加できなかった方や、再度視聴したい方はどうぞ。
再生箇所の目安
1. 開会および進行方法の説明(林准教授)
(開始~0h2minごろ)
2. 部門長挨拶および島谷先生の経歴紹介(塚原教授)
(0h2min~0h11minごろ)
3. 在職中のプロジェクトおよび主要な成果の紹介(林准教授)
(0h12min~0h28minごろ)
4. 最終講義「流域治水から国土再編へ」(島谷教授)
(0h28min~01h35minごろ)
5. パネルディスカッション(桑子教授)
(01h36min~02h04minごろ)
6. 部門長より終わりの挨拶(三谷教授)
(02h05min~02h07minごろ)
7. 記念品贈呈
(02h07min~02h11minごろ)
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